死亡事故の逸失利益
交通事故で大切なのは、亡くなった方の尊い命に対する賠償はもちろんですが、ご遺族が安心して生活を続けられるよう、適切な損害賠償を受けることです。
その中でも特に重要なのが「逸失利益」です。
今回は、死亡事故における逸失利益の計算方法について、弁護士が分かりやすく解説します。
逸失利益とは?
逸失利益とは、事故によって亡くなった方が、もし生きていれば得ることができたはずの収入を指します。具体的には、亡くなった方が将来得られたであろう給料や事業所得などです。
逸失利益の計算方法
逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
逸失利益 = 年収 × (1-生活控除率) × (就労可能年数に対するライプニッツ係数)
① 死亡事故の逸失利益の計算における年収は、職業によって異なります。
- 給与所得者: 事故前の実際の税込み収入額が基本です。
- 事業所得者: 事故前の収入額、または事業収入中に占める本人の寄与分が基本です。
- 専業主婦: 賃金センサスの女子労働者の全年齢平均賃金が基本です。
- 幼児・学生: 性別や年齢に応じて、賃金センサスの平均賃金が基本です。
- 失業者: 労働能力及び労働意欲があり就労の蓋然性があれば、失業前の収入を参考に算定されます。
② 生活費の控除
死亡により生活費の支出を免れるため、その割合が生活費控除率として算定に用いられます。
- 一家の支柱: 30~40%程度を収入額より控除
- 女子(主婦・独身・幼児を含む): 30~45%程度を収入額より控除
- 男子(独身・幼児を含む): 50%程度を収入額より控除
③ 中間利息控除
就労可能年数に対応する中間利息の控除を行います。実務上、特段の事情がない限り年5%の割合によるライプニッツ方式を採用するようになっています。
死亡事故の逸失利益はなぜ重要なのか?
逸失利益は、ご遺族の将来の生活を支えるための重要な要素です。適切に算定されなければ、ご遺族が経済的に困窮してしまう可能性があります。
弁護士に相談するメリット
死亡事故の損害賠償は、法律の知識や専門的な手続きが必要となります。弁護士に相談することで、
- 逸失利益の適切な算定
- 保険会社との交渉
- 裁判手続き
などをサポートしてもらうことができます。
もしご自身が交通事故に遭われたり、ご家族が交通事故で亡くなられたりした場合には、一人で悩まずに、ぜひ弁護士にご相談ください。