交通事故によって、骨折や脱臼、筋肉・腱・靱帯の損傷、そして神経の損傷や麻痺という怪我を負うことがあります。これらの症状も後遺障害として認定される可能性は十分あります。

この場合の後遺障害認定で特にポイントとなるのが「関節の可動域制限」「動揺関節」「固定装具装着の有無」の3つです。

交通事故によって、身体の様々な部位を損傷し、後遺障害が残るケースは少なくありません。骨折や脱臼、筋肉・腱・靱帯の損傷、そして神経の損傷や麻痺など、その種類は多岐にわたります。

この記事では、交通事故で起こりうる部位別の損傷と、後遺障害認定における重要なポイントを詳しく解説します。

1. 骨の損傷(骨折、脱臼)

骨折や脱臼は、交通事故で最も一般的な損傷の一つです。

  • 後遺障害として認定されるポイント
    • 癒合不良: 骨が完全に癒合せず、変形や痛みを引き起こす場合。
    • 関節可動域制限: 関節の動きが制限され、日常生活に支障が出る場合。
    • 偽関節: 骨が全くくっつかない状態。
    • 変形治癒: 骨が歪んで癒合し、見た目が悪くなったり、機能障害が生じたりする場合。
  • 具体的な部位と影響
    • 上肢: 腕の骨折は、日常生活での動作に大きな影響を与えます。
    • 下肢: 脚の骨折は、歩行が困難になり、労働能力の低下に繋がる可能性があります。
    • 骨盤: 骨盤の骨折は、内臓への損傷を伴うこともあり、重篤な後遺障害となる場合があります。

2. 筋肉・腱・靱帯の損傷

筋肉・腱・靱帯の損傷は、痛みや運動機能の低下を引き起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。

  • 後遺障害として認定されるポイント
    • 筋力低下: 筋肉の力が弱くなり、日常生活動作が困難になる場合。
    • 関節不安定性: 関節が不安定になり、脱臼や再損傷のリスクが高まる場合。
    • 疼痛: 慢性的な痛みがあり、日常生活に支障が出る場合。
  • 具体的な部位と影響
    • 肩: 回旋腱板の損傷は、腕を上げたり回したりする動作に制限が生じます。
    • 膝: 前十字靭帯の損傷は、スポーツや日常生活での動作に大きな影響を与えます。
    • 足首: 足関節捻挫の繰り返しが、慢性的な痛みや不安定性に繋がる場合があります。

3. 神経の損傷

神経の損傷は、感覚異常、運動麻痺、自律神経症状など、様々な症状を引き起こします。

  • 後遺障害として認定されるポイント
    • 感覚異常: 感覚が鈍くなったり、過敏になったりする場合。
    • 運動麻痺: 筋肉が動かせなくなり、日常生活に大きな支障が出る場合。
    • 自律神経症状: めまい、頭痛、倦怠感など、自律神経のバランスが崩れる場合。
  • 具体的な部位と影響
    • 頸椎: 頸椎の損傷は、首や腕の痛み、しびれを引き起こし、日常生活に大きな支障が出る場合があります。
    • 腰椎: 腰椎の損傷は、腰痛や下肢の痛み、しびれを引き起こし、日常生活や労働能力に影響を与える場合があります。