過去に交通事故に遭ったことがある方や、もともと腰痛持ちの方が新たな事故に遭った場合、もっとも恐ろしいのが「既往症(きおうしょう)」という壁です。
医師は「身体を治すこと」が目的なので、悪気なく「前から痛かった部分」と「今回痛めた部分」をまとめてカルテに書いてしまうことがあります。 しかし、後遺障害の審査において、この「混在」は致命的です。「それは今回の事故のせいではない」として、非該当(0円)にされる格好の材料になってしまうからです。
本事例は、そんな「診断書の落とし穴」を弁護士が見抜き、主治医のもとへ直接出向いて修正することで、消えかけた権利(175万円)を取り戻した記録です。
交通事故概要
【相談者】男性(50代)/ 会社員
ご相談時の状況
「前の事故のことも正直に話したら、診断書が不利になっていた」
ご依頼者様(50代男性・会社員)は、信号待ちの停車中に追突され、頚椎・腰椎捻挫(むちうち)を負われました。
懸命に治療されましたが、実はご依頼者様には過去にも交通事故の経験があり、首や腰に古傷(既往症)がありました。 正直に主治医にそのことを伝えて治療を受けていたのですが、出来上がった後遺障害診断書を見ると、「過去の症状」と「今回の事故による症状」が区別されず、混ざった状態で記載されていました。
このまま提出すれば、「単なる古傷の痛み」と判断され、後遺障害は認められない(非該当)可能性が極めて高い状況でした。
アリオン法律事務所の「同行」戦略
書類だけで審査される後遺障害認定において、診断書の記載は命です。私たちは、提出前に動きました。
- 戦略①:診断書の「精密査定」 まず、作成された診断書を弁護士の視点で精査しました。「どこが既往症の再発で、どこが新規の損傷か」。この境界線が曖昧であることを特定しました。
- 戦略②:主治医への「同行」と書き直し依頼 依頼者様任せにせず、弁護士が診察室まで同行しました。 医師に対し、「治療上は同じ痛みでも、賠償実務上は『区別』が必要であること」を丁寧に説明。 医師の理解を得て、「既往症の増悪部分」と「今回の事故による新規症状」を明確に分けた診断書に書き直していただきました。
交渉の結果
| 主な損害項目 | サポート前 | サポート後 | 増加額 |
| 後遺障害 | 0万円 | 175万円 | 175万円 |
| 合計額 | – | 175万円 | 175万円 |
解決結果
修正された「正確な診断書」を提出した結果、正当な評価が得られました。
- 認定結果: 既往症とは区別された「新規の損害」として、後遺障害等級 14級9号に認定。
- 経済的成果: 等級なし(0円)の危機を回避し、後遺障害分として 175万円 を獲得。
「先生が一緒に来てくれなかったら、自分では説明できませんでした」。 依頼者様のその言葉通り、この175万円は、まさに「足で稼いだ」成果でした。
担当弁護士のコメント
医師は医療のプロですが、自賠責保険の認定基準(ルールのプロ)ではありません。 既往症がある場合、患者様が一人で「書き直してください」と言っても、医師に意図が伝わらず、関係が悪化してしまうこともあります。
私たちが間に入ることで、医学的な事実を歪めることなく、法的に正しい評価を受けられるよう調整します。診断書を提出する前に、必ず一度ご相談ください。
ご依頼者様からのアンケート
当事務所の弁護士の対応はいかがでしたでしょうか。
大変満足
当事務所の事務スタッフの対応はいかがでしたでしょうか。
大変満足
大変満足しています。
今後、何かあった場合利用したいと思います。
よくあるご質問:過去に病気や事故歴がある方へ
Q1. ヘルニア持ちですが、今回の事故で悪化しました。請求できますか?
A. はい、「素因減額」の対象になる可能性はありますが、請求可能です。 元々の持病(素因)があっても、事故によって痛みが強くなった(増悪した)分は補償の対象です。ただし、漫然と申請すると「全て持病のせい」にされるリスクがあるため、本事例のように医師との連携が不可欠です。
Q2. 弁護士が病院についてきてくれるのですか?
A. 必要性が高い場合は、同行いたします。 全ての案件ではありませんが、本事例のように「医師への説明が認定の成否を分ける」と判断した場合は、弁護士が同行し、医学的見地から医師と面談を行います。遠慮なくご相談ください。
Q3. もう診断書を出してしまいましたが、手遅れですか?
A. 結果が出る前なら追加資料を、出た後なら「異議申立」を検討します。 提出直後であれば、急いで修正資料を送ることで間に合う場合があります。すでに「非該当」の結果が出ている場合でも、診断書の問題点を指摘して「異議申立」を行うことで、結果を覆せる可能性があります。
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