交通事故による怪我の中には、他人には相談しにくい、デリケートな後遺症があります。 特に女性にとって、「排尿障害(尿漏れや頻尿など)」の悩みは、医師にさえ打ち明けるのを躊躇してしまうほど深いものです。
「恥ずかしいから、このまま我慢して終わらせよう」
そう思ってしまうお気持ちは痛いほど分かります。しかし、その障害は一生続くかもしれないのです。 本事例は、誰にも言えなかった悩みを弁護士が代弁し、一度は終わりかけた治療を再開させ、正当な権利(後遺障害5級)と、将来を支える賠償金(6,570万円)を勝ち取った記録です。
交通事故概要
【相談者】 女性(20代) / 熊本県在住 / 職業:看護師
【受任時期】 治療終了・症状固定後
【傷病名】 外傷性脾臓破裂、ろっ骨骨折、骨盤骨折、両側肺挫傷
【後遺障害等級】 併合5級(排尿障害7級、股関節の可動域制限12級、脾臓損傷13級、神経症状14級)
【活動のポイント】 被害者請求により併合5級の認定獲得及び過失相殺等の主張につき訴訟による解決
【サポート結果】 後遺障害5級2号の認定を受けた上で、訴訟にて解決。
| 主な損害項目 | 訴訟前の提示 | 解決額 | 増加額 |
| 賠償額 | -提示前- 但し、後遺障害7級、12級は否定 | 6570万円 (治療費別) | 6570万円 (治療費別) |
ご相談時の状況
「車の下敷きになる大事故。でも、一番辛い症状は言えなかった」
ご依頼者様(20代女性・看護師)は、原付での走行中に巻き込み事故に遭い、車の下敷きになるという壮絶な被害を受けました。 脾臓(ひぞう)破裂や骨盤骨折などの重傷を負い、懸命な治療が続きましたが、相手方保険会社からは「そろそろ症状固定(治療終了)にしましょう」と促され、その通りに応じようとしていました。
しかし、お母様と当事務所へ相談に来られた際、ご本人の口から「実は、排尿障害があるけれど、恥ずかしくて先生に言えていない」という告白がありました。 それが、この事件の運命を変える瞬間でした。
アリオン法律事務所の「代弁」と「再開」
まだ終わらせてはいけない。私たちは直ちに行動しました。
- 戦略①:症状固定の撤回と治療継続 排尿障害の検査も治療もしていない段階での「症状固定」はあり得ません。 私たちは保険会社の方針を覆し、健康保険を使って治療を継続するようアドバイスしました。
- 戦略②:言いにくい症状の「代弁者」になる 女性が男性医師に「尿の悩み」を伝えるのは勇気がいります。 そこで、弁護士が間に入り、医師に対して「事故による排尿障害の疑いがあるため、専門的な検査と診断書の記載をお願いしたい」と明確に依頼しました。
これにより、これまでカルテに載っていなかった症状が、医学的な「証拠」として記録されるようになりました。
解決結果
適切な検査と申請を行った結果、驚くべき評価が得られました。
- 認定結果:
- 排尿障害:7級(当初は見過ごされていた症状)
- 股関節可動域制限:12級
- 脾臓損傷:13級
- 最終等級:併合5級
- 最終解決額: 6,570万円(治療費別)
もしあの時、恥ずかしがって相談していなければ、排尿障害は「なかったこと」にされ、補償も数百万円程度で終わっていたかもしれません。 6,570万円という金額は、ハンディキャップを負った彼女が、これからも看護師として、女性として、尊厳を持って生きていくための「未来への支え」となりました。
担当弁護士のコメント
弁護士の仕事は、法律を使うことだけではありません。 「あなたが言いにくいことを、代わりに大きな声で主張すること」。これが私たちの最も大切な役割です。
どんなにデリケートな悩みでも、私たちには包み隠さずお話しください。 私たちがあなたの「声」となり、正当な権利を守り抜きます。
ご依頼者さまからのアンケート

個人・女性・50才
【事案内容】交通事故
- 当事務所の弁護士・スタッフの対応はいかがでしたか。
満足(4.大変満足 3.満足 2.普通 1.不満) - 数ある法律事務所の中から、当事務所を選んでいただいた理由をお聞かせください。
インターネットで検索しました。 - 最後に、当事務所をご利用いただいてのご感想をお聞かせください。
大変、長引いてしまいましたが、親身に接してくださって有難かったです。症状等も、しっかり調べる事が出来ました。これからの娘の将来に不安が有りながらも、経済的に不安が減り、少しでも光が見えた気がしています。本当にお世話になりました。感謝致しております。
よくあるご質問:女性特有のお悩み・デリケートな症状について
Q1. 医師が男性で、排尿障害や生殖器の悩みを相談しにくいです。
A. 弁護士が間に入り、医師へ書面で伝達します。 直接言うのが恥ずかしい場合、私たちが「症状報告書」や「照会状」という形で、医師に症状を伝えます。診察への同行も可能です(※要相談)。一人で抱え込まず、まずは私たちにお話しください。
Q2. もう「症状固定」の診断書を書いてもらってしまいましたが、手遅れですか?
A. まだ間に合う可能性があります。 診断書に記載漏れがある場合、追加検査を受けて「追記」してもらうか、新たな診断書を作成してもらうことで、認定申請に間に合わせることができます。諦めずにすぐご連絡ください。
Q3. 泌尿器の障害などは、後遺障害として認められにくいですか?
A. いいえ、検査で立証できれば高い等級が認められます。 「ウロダイナミクス検査」などの専門的な検査を行えば、客観的に障害を証明できます。重要なのは「検査をしていないこと」ではなく「検査をして証明すること」です。必要な検査についてもアドバイスいたします。



