後遺障害の申請で「非該当(等級なし)」という通知が届いても、それは最終決定ではありません。認定機関の審査には誤りや見落としがある場合も多く、適切な「異議申立」を行えば結果が覆る可能性があります。本事例は、非該当とされた被害者に対し、弁護士が新たな医証と同乗者の認定実績を武器に再審査を求め、14級認定と500万円の賠償を勝ち取った、執念の逆転劇です。

交通事故概要

【相談者】 男性(50代) / 熊本県在住 / 職業:会社員 
【傷病名】 頚椎捻挫・腰椎捻挫
【後遺障害等級】 14級9号
【受任時期】 治療終了・症状固定後
【活動のポイント】 後遺障害等級の異議申立・賠償額の算定
【サポート結果】 後遺障害14級9号を得て、500万円の賠償を受ける。
主な損害項目サポート前サポート後増加額
後遺障害慰謝料・逸失利益0万円280万円280万円
合計額500万円280万円

ご相談時の状況:「非該当」通知への不満

ご依頼者様(50代男性・会社員)は、業務中に追突事故に遭い、頚椎捻挫(むちうち)等の傷害を負いました。治療終了後、後遺障害の申請を行いましたが、結果はまさかの「非該当」。痛みや痺れが残っているにも関わらず、「後遺障害ではない」と判断されました。 しかし、同じ事故に遭った同乗者は14級の認定を受けており、「なぜ自分だけが認められないのか」と強い疑問と不満を抱え、当事務所にご相談されました。

アリオン法律事務所の戦略:比較と補充による異議申立

私たちは、「非該当」の判断を覆すため、以下の根拠を揃えて異議申立を行いました。

  1. 「同乗者の認定」を強力な根拠に
    事故の衝撃の大きさや受傷機転を証明するため、「同乗者が14級認定を受けている事実」を強調しました。同じ衝撃を受けた同乗者に後遺障害が認められている以上、ご依頼者様にも同様の等級が認められるべきであると論理的に主張しました。
  2. 症状の実態を示す医証の補充
    さらに、現在の症状を詳細に記した報告書や、これまで提出していなかった画像診断の結果などを追加で提出。書面審査のみで行われる認定手続きにおいて、「痛みの実在」を客観的に裏付ける資料を補強しました。

解決結果:14級認定と500万円の獲得

異議申立の結果、主張が認められ、前回判断が覆り後遺障害14級9号が認定されました。

  • 等級認定: 非該当 → 14級9号(異議申立による逆転)。
  • 賠償交渉: 14級を前提に、傷害慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益を裁判基準で算定し請求。
  • 最終解決額: 当初見込み(数十万円程度)から大幅に増額し、500万円で示談成立。

担当弁護士のコメント

一度「非該当」が出ると、多くの被害者の方は諦めてしまいます。しかし、認定理由を分析し、不足していた証拠を補えば、結果は変わります。特に本件のように「同乗者は認定されている」といった矛盾がある場合は、覆せる可能性が高いです。通知書を捨てずに、まずは私たちに見せてください。

よくあるご質問:後遺障害の「非該当」と「異議申立」

Q1. 異議申立をすれば、必ず等級が認定されますか?

  • A. 必ずではありませんが、医学的な根拠があれば可能性はあります。 単に「納得できない」と訴えるだけでは通りません。なぜ非該当になったのかを分析し、新たな検査結果や医師の意見書など、前回足りなかった医学的証拠(医証)を提出することで、認定の可能性を高めることができます。

Q2. 異議申立には期限がありますか?

  • A. 時効(原則5年)にかからない限り、いつでも申請できます。 ただし、時間が経つほど新たな証拠を集めるのが難しくなるため、非該当通知を受け取ったらできるだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。

Q3. 自分で異議申立をするのと、弁護士に頼むのとでは違いますか?

  • A. 圧倒的に違います。 弁護士は「認定のポイント」を熟知しており、どの資料を追加すれば審査員の判断を変えられるかを見極めます。個人で同じ資料を再提出しても結果は変わりませんが、弁護士は 「勝てる資料」 を新たに構築して挑みます。