自営業者やフリーランスにとって、「仕事を休む」ことは「信用を失う」ことと同義です。 だからこそ、事故でどんなに身体が痛くても、無理をして現場に出たり、身銭を切って代わりの職人(外注)を雇ったりして、必死に納期を守ろうとします。
しかし、保険会社はこう言うことがあります。 「確定申告書を見る限り、売上は減っていませんよね? だから休業損害はありません」
こんな理不尽な話はありません。 あなたが身銭を切って守った売上なのに、その「代償(外注費)」が補償されないなんて、あってはならないことです。
本事例は、そんな「責任感の強い経営者」が直面した理不尽に対し、弁護士が徹底的に立証を行い、外注費を「正当な損害」として認めさせた記録です。
交通事故概要
【相談者】 男性(30代) / 熊本県在住 / 職業:自営業
【受任時期】 治療中
【傷病名】 頸椎捻挫(むち打ち)
【後遺障害等級】 申請なし
【活動のポイント】 休業損害・慰謝料の主張
【サポート結果】 既払い金を除き85万円の賠償を実現
| 主な損害項目 | 事前提示額 | 解決額 | 増加額 |
| 賠償額 | – 提示前 – | 85万円 (既払金別) | 85万円 (既払金別) |
1.ご相談時の状況
「痛みを堪えて現場を回したのに、補償ゼロはおかしい」
ご依頼者様(30代男性・自営業)は、追突事故によりむちうち(頸椎捻挫)の怪我を負いました。 身体は悲鳴を上げていましたが、「お客様に迷惑はかけられない」というプロ意識から、ご自身でできない作業を知り合いの業者に外注し、なんとか納期を守り抜きました。
その結果、確定申告上の「売上」は前年と変わらず維持できました。 しかし、手元に残る利益は「外注費」の分だけ減っています。それにもかかわらず、相手方保険会社は「減収がない」ことを理由に、休業損害の支払いに難色を示していました。
2.アリオン法律事務所の「立証」戦略
「減収がない=損害がない」という保険会社のロジックを崩すため、私たちは以下の戦略で戦いました。
- 戦略①:「契約書なし」からの事実証明 今回のケースでは、急な依頼だったこともあり、外注先との間で正式な「業務委託契約書」が交わされていませんでした。これが立証の大きな壁でした。 しかし、私たちは諦めません。外注先の方に直接コンタクトを取り、「確かにこの時期に、事故の影響で仕事を請け負った」という旨の陳述書(証明書)を作成していただくよう働きかけました。
- 戦略②:調停での論理的展開 「売上が維持できているのは、被害者が外注費という『犠牲』を払ったからである」。 この当たり前の事実を、客観的な数字(事故前後の経費率の変化など)と共に調停委員へ訴えかけました。 「被害者の経営努力を、損害否定の材料にするのは不当である」という主張を展開しました。
3.解決結果
粘り強い立証の結果、私たちの主張が全面的に認められました。
- 認定結果: 事故により発生した「外注費」の全額を、休業損害として認定。
- 最終解決額: 治療費などの既払い金を除き、約85万円を獲得。
金額以上に、「自分が身体を張って守った仕事が、正当に評価された」というご依頼者様の**「経営者としてのプライド」**を守れたことが、何よりの成果です。
4.担当弁護士のコメント
自営業の方の「代打費用(外注費)」は、立証が難しいと言われがちです。 しかし、領収書や契約書がなくても、諦める必要はありません。取引先へのヒアリングや、業務実態の積み上げで証明できる方法はあります。
あなたが汗水流して守った事業の価値を、保険会社の事務的なマニュアルで否定させません。私たちに、その「経営努力」の証明を任せてください。

個人・男性・30代
【事案内容】交通事故
- 当事務所の弁護士・スタッフの対応はいかがでしたか。
大変満足(4.大変満足 3.満足 2.普通 1.不満) - 数ある法律事務所の中から、当事務所を選んでいただいた理由をお聞かせください。
知り合いの弁護士さんがいなかったので、保険会社によければ紹介してほしいと言ったのがきっかけです。 - 最後に、当事務所をご利用いただいてのご感想をお聞かせください。
交通事故以外でも、困ったことがあれば相談しようと思います。
よくあるご質問:諦める前にご確認ください
Q1. 外注先とは「口約束」で頼んでおり、契約書がありません。それでも請求できますか?
A. 諦める必要はありません。立証する方法はあります。 現場が忙しい中で、正式な契約書を交わしていないケースは多々あります。その場合でも、外注先の方に協力いただき、「いつ、どのような作業を依頼したか」という陳述書(証明書)を作成したり、通帳の振込履歴を整理したりすることで、支払いの事実を証明できます。資料作りは私たちがサポートします。
Q2. 確定申告上の「売上」は減っていませんが、休業損害になりますか?
A. はい、「経費(外注費)」が増えていれば、それは損害です。 保険会社は「売上(入り)」しか見ないことがありますが、重要なのは「利益(残り)」です。あなたが身銭を切って(経費を増やして)売上を維持したのなら、その支払った費用こそが、事故による明確な「損害」です。堂々と請求しましょう。
Q3. 外注費の金額がそこまで大きくないのですが、弁護士に頼んでもいいのでしょうか?
A. 「弁護士費用特約」があれば、自己負担0円で依頼できます。 ご加入の自動車保険に「弁護士費用特約」が付いていれば、弁護士費用は保険会社が負担します(上限300万円まで)。つまり、あなたの持ち出しはゼロで、正当な権利を主張できます。まずは証券をご確認ください。



