交通事故で足を骨折した際、皮肉なことに「怪我が重いほど、病院に行けない(通院日数が稼げない)」というジレンマに陥ることがあります。

「松葉杖で歩くのが大変で、自宅で安静にしていた」

これは医学的に正しい行動です。しかし、保険会社は事務的にこう言います。 「通院日数が少ないので、慰謝料はこれだけです」

痛みに耐えて自宅で過ごした時間は、評価されないのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。 本事例は、通院実績が少なくても、「松葉杖の不自由さ」を客観的に立証することで、正当な慰謝料(満額)を勝ち取ったスピード解決の記録です。

交通事故概要

【依頼者】 男性(20代) / 職業 会社員
【傷病名】 右足腓骨骨折
【受任時期】 治療終了・症状固定後
【活動のポイント】 通院日数が少なかったところ、自宅安静・松葉杖使用期間を反映させた賠償交渉
【サポート結果】 早期・請求額ほぼ満額での解決

ご相談時の状況(The Trap:真面目に休んだのに減額?)

「医師の指示通り自宅で安静にしていたのに…」

ご依頼者様(20代男性・会社員)は、バイクで走行中に左折車に巻き込まれ、右足(腓骨)を骨折されました。

ギプスと松葉杖での生活を余儀なくされ、医師からも「無理に動かず安静にするように」と言われていたため、必要最低限の通院(経過観察)しかしませんでした。 ところが、治療終了後に保険会社から提示された慰謝料は、通院日数の少なさを理由に低く抑えられた金額でした。

「動けなかったこと自体が苦痛だったのに、それが考慮されないのはおかしい」。 ご依頼者様のその感覚は、法的に見ても正しいものでした。

アリオン法律事務所の「実態証明」戦略

戦略②:自宅療養を「入院」として評価させる 裁判実務では、ギプス固定や松葉杖などで日常生活に著しい支障がある期間は、自宅にいても「入院していたのと同等」とみなして慰謝料を計算できる場合があります。 私たちはこのロジックを用い、「単なる通院慰謝料」ではなく、「入院慰謝料に近い水準」での支払いを強く求めました。

「通院していない=元気だった」という保険会社の理屈を崩すため、私たちは以下の戦略をとりました。

戦略①:「診療報酬明細書」による松葉杖期間の特定 診断書の日付だけではなく、病院が発行する「診療報酬明細書(レセプト)」を細かく精査しました。 そこには「松葉杖を貸し出した日」と「返却した日」が明確に記録されています。 これを証拠として、「この期間は歩行困難であり、通院できないほどの重傷だった」ことを客観的に証明しました。

解決結果:わずか1ヶ月で決着)

弁護士が介入して証拠を示せば、長引くことなく、適正な金額が認められる好例です。 ご依頼者様も「こんなに早く、希望通りになるとは」と驚かれていました。

客観的な証拠(明細書)と法的な根拠に基づいた主張に対し、保険会社は反論できませんでした。

  • 認定結果: 松葉杖使用期間および自宅待機期間を考慮した慰謝料額を認定。
  • 最終解決額: こちらの請求額のほぼ満額で合意。
  • 解決期間: 受任から約1ヶ月(超早期解決)。

担当弁護士のコメント

松葉杖やギプスで不自由な生活を強いられたなら、その苦痛は金銭的に評価されるべきです。 「通院が少ないから」と諦める前に、どのような治療生活だったかを私たちに教えてください。そこに増額の種が埋まっています。

「通院日数が全て」ではありません。大切なのは「どのような状態で過ごしていたか」です。

よくあるご質問:骨折・松葉杖生活の方へ

Q1. 松葉杖を使っていた期間は、慰謝料が増えますか?

A. はい、増額事由として認められる可能性が高いです。 単に通院した日だけでなく、松葉杖で生活に制限があった期間(ギプス固定期間など)は、慰謝料の増額要素となります。場合によっては「入院期間」として計算されることもあります。

Q2. 仕事が忙しくてあまり通院できていません。それでも大丈夫ですか?

A. 事情があれば考慮されます。まずはご相談ください。 仕事や家事、または怪我の状態によって通院できない事情がある場合、それを正しく主張することで、実通院日数以上の評価(×3.5倍計算など)を得られるケースがあります。

Q3. 弁護士費用特約を使うと、等級や金額に影響しますか?

A. いいえ、メリットしかありません。 特約を使っても、保険会社が支払う賠償金が減ることはありません。むしろ、弁護士が入ることで「弁護士基準(最も高い基準)」での請求が可能になるため、手取り額は大幅に増えることがほとんどです。

解決事例