被害者は総合病院勤務の医師であり、激務であることから通院する時間が取れず同僚の医師らに相談しながら自身で治療を続けました。結果、カルテ・診断書・通院記録などが残っておらず、自賠責保険の後遺障害認定は非該当とされました。異議申し立ても非該当とされ、訴訟にて後遺障害の主張・立証を行いました。最終的には裁判所からの和解案で解決した事例。

概要

【相談者】 女性(40代) / 熊本県在住 / 職業:医師 
【傷病名】 頚部捻挫等 
【後遺障害等級】 非該当
【受任時期】 事故直後・治療中
【活動のポイント】 後遺障害の状況について主張立証 
【サポート結果】 後遺障害認定を前提とした和解により解決(賠償額16.6倍)
主な損害項目訴訟前の提示解決額増加額
業損害25万円450万円415万円

1.相談・依頼のきっかけ

Aさんは、医師として総合病院に勤務されていましたが、自動車での通勤中に相手車両から衝突され頚部捻挫等の傷害を負いました。

Aさんの症状は決して軽いものではありませんでしたが、Aさんの所属する科は激務であり通院する時間がとれないこと、Aさん自身が交通事故で怪我をされた方を診察していること、勤務先が総合病院であり同僚の医師に容易に相談できること等から、同僚の医師らに相談しながら自身で治療し、結果的にカルテ・診断書上、通院の記録がほとんど残っていない状態となっていました。

Aさんには腕の痛み・痺れ等の後遺障害も残っているようでしたが、相手保険会社との交渉等にもストレスを感じており、Aさんの友人の医師から当事務所を紹介され、相談にみえました。

2.受任後の活動

(1)治療の継続・後遺障害非該当

Aさんはご相談を受けた時点で、腕の痛み・痺れが残っており、治療をしばらく継続した後に症状固定となりました。

その後、自賠責保険に後遺障害の等級認定申請を行いましたが、治療期間中に通院していない期間が1月以上空いていること等を理由に非該等の認定を受けました。

(2)訴訟提起

主治医の協力も得て、自賠責保険に異議申し立てをしましたが、非該当の結論は変わりませんでした。

Aさんには明らかに後遺障害が残っており、投薬により痛み・痺れをコントロールしている状態であることから、Aさんと協議し、訴訟提起をして、裁判所に判断を仰ぐことにしました。

(3)訴訟における後遺障害の主張・立証

訴訟では、相手方は、Aさんの治療期間が長期に過ぎること、後遺障害は認められないこと、既往症があること等の主張がされました。

これに対して、主治医等の複数の医師の協力を得て、Aさんの後遺障害状況・治療期間中のAさん自身による治療行為の評価、既往症と後遺障害に関係がないこと等を主張・立証しました。

(4)和解案の提示

裁判所から和解案が提案されることになり、Aさんには後遺障害等級14級相当の後遺障害を認めたことを前提とする慰謝料・逸失利益を認定した和解案が示されました。

3.当事務所が関与した結果

後遺障害等級認定は非該当でしたが、基本的に自賠責の判断を前提に認定することが多い裁判所から自賠責の認定とは異なる後遺障害等級認定を勝ち取ることができました。

4.(所感)解決のポイント

多忙な医師であるために記録上現れない自身による治療行為を丁寧に拾い、Aさんと接していた同僚医師・主治医の協力を取り付けたことでAさんの後遺症外の状況を裁判所に理解させることができ、相手方にも裁判所の和解案を受け容れさせることができました。

一般に専門家は自身の専門分野の当事者になることが苦手で(弁護士は自分の個人的なトラブルを嫌がります。私の知る限り同業者は皆さん自動車保険に弁護士費用特約を付けています(笑))、Aさんも本来の症状どおりの正式な通院・治療をしない患者さんだったかもしれません。

Aさんには裁判による解決まで時間を要しましたが、同じ専門家として協力・共感しながら解決に至ることができたと考えています。

ご依頼者さまからのアンケート

(F(Dr) 頚椎捻挫)

個人・女性・40代
【事案内容】交通事故

1.当事務所の弁護士・スタッフの対応はいかがでしたか。

大変満足(4.大変満足 3.満足 2.普通 1.不満)

2.数ある法律事務所の中から、当事務所を選んでいただいた理由をお聞かせください。

知人からの紹介
先生のブログに自分の故郷の穂積先生の言葉が載っており、共感したから。

3.最後に、当事務所をご利用いただいてのご感想をお聞かせください。

先生、スタッフの方の対応はいつも丁寧で親切で、本当にありがとうございました。途中心が折れそうになった時も先生から「頑張りましょう」とあたたかい励ましを頂き、頑張ることが出来ました。お部屋のデザインも落ち着いた感じで安心してお話しできました。本当にお世話になりました。