交通事故に遭っても、無理をして仕事を続け、売上を落とさないように努力する。 本来なら称賛されるべきその責任感が、交通事故の賠償においては「あだ」になることがあります。

保険会社はこう言います。 「確定申告の数字(売上)が減っていませんね。だから休業損害はゼロです」

仕事の穴は埋められても、家に帰れば痛くて家事ができない。「主婦」としての業務はストップしているのに、そこは無視されるのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。

本事例は、「仕事の減収はないが、家事に支障が出た」という女性に対し、弁護士が「家事従事者(主婦)」としての権利を主張し、正当な賠償金を勝ち取った記録です。

交通事故概要

【相談者】 女性(40代) / 福岡県在住 / 職業:自営業
【受任時期】 治療終了後
【傷病名】 頸椎捻挫(むち打ち)
【後遺障害等級】 申請なし
【活動のポイント】 休業損害・慰謝料の主張
【サポート結果】 休業損害認定の上、子ども達も含めて交渉解決
主な損害項目事前提示額解決額増加額
賠償額
(本人)
– 提示前 –114万円
(治療費別)
114万円
(治療費別)
賠償額
(子ども二人)
– 提示前 –127万円
(治療費別)
127万円
(治療費別)

1.ご相談時の状況

「仕事も家事も必死で回しているのに、何も認められない」

ご依頼者様(40代女性・自営業)は、小学生のお子さん二人を育てながら自営業を営む、働くお母さんでした。

追突事故でむちうちの痛みを抱えながらも、生活のために仕事は休まず続けました。その甲斐あって自営業の収入は減りませんでしたが、相手方保険会社からは「減収がないので、休業損害は認めません」と通告されました。

家では痛みをこらえて家事や育児をこなしているのに、その苦労は一切評価されないのか。そんな悔しさを抱えてのご相談でした。

2.アリオン法律事務所の「視点転換」戦略

私たちは、土俵を変えました。「自営業者」としてではなく、「家事従事者(主婦)」として戦う戦略です。

  • 戦略①:「兼業主婦」という切り札 女性が働いている場合、休業損害は「実収入(仕事の給料)」か「全女性の平均賃金(家事の価値)」のいずれか高い方で請求できるというルールがあります。 今回は自営業の減収(実収入減)が証明しにくいため、あえて「家事労働に支障が出た」として請求を行いました。
  • 戦略②:家事の価値を「数値化」する 「家事はタダ」ではありません。賃金センサス(統計)に基づけば、主婦の労働は日額約1万円以上の価値があると認められるケースが多くあります。 Aさんが家事を担っている実態と、怪我によってそれがどれだけ制限されたかを具体的に主張し、保険会社の「0円」という主張を崩しました。

3.解決結果

私たちの主張が通り、保険会社は方針を転換しました。

  • 認定結果: 「減収なし」の主張を撤回させ、家事への支障分を「休業損害」として認定
  • 最終解決額: ご本人とお子さん二人分の慰謝料を含め、合計 約240万円(治療費別)で解決。

仕事の売上も守り、家事労働の対価も守る。 お母さんの頑張りが、法的に正しく評価された結果となりました。

4.担当弁護士のコメント

「働いているから主婦としての請求はできない」と誤解されている方が非常に多いです。しかし、法律はそこまで冷たくありません。

仕事の売上が減っていなくても、あなたが家で痛みを我慢して洗濯や料理をしたその時間は、補償されるべき「損害」です。 保険会社に言いくるめられる前に、ぜひ私たちにご相談ください。あなたの「見えない労働」にも、ちゃんと値段がつきます。

アンケート回答

個人・女性・40代

【事案内容】交通事故

  1. 当事務所の弁護士・スタッフの対応はいかがでしたか。
    大変満足(4.大変満足 3.満足 2.普通 1.不満)
  2. 数ある法律事務所の中から、当事務所を選んでいただいた理由をお聞かせください。
    知人からの紹介
  3. 最後に、当事務所をご利用いただいてのご感想をお聞かせください。
    最後まで丁寧な対応、ありがとうございました。安心しておまわせできました。雪華にも大変、満足しています。

よくあるご質問:働く女性・主婦の方へ

Q1. パートや自営業で収入が低いのですが、それでも「主婦」として請求できますか?

A. はい、実際の収入より高くなるケースが多いです。 パート収入や自営業の所得が、全女性の平均賃金(年収約380万円程度※年度による)を下回る場合、平均賃金をベースに休業損害を計算できる可能性があります。つまり、実際の稼ぎよりも高い金額で補償を受けられる権利があります。

Q2. 夫や子供も乗っていましたが、家族全員分の相談はできますか?

A. もちろんです。まとめてサポートいたします。 本事例のように、同乗していたお子様の慰謝料交渉も併せて行います。お母様が窓口となっていただければ、ご家族全員分の権利を漏れなく守ることができます。面倒な手続きはすべてお任せください。

Q3. 専業主婦でも休業損害はもらえますか?

A. もらえます。「家事=労働」だからです。 「外で働いていないからもらえない」というのは大きな間違いです。怪我で家事ができなかった期間は、当然に休業損害の対象となります。保険会社から「主婦だから出ない」と言われたら、すぐに弁護士へご連絡ください。

解決事例