首や足関節の骨折は、治癒後も可動域制限や痛みが残ることが多く、後遺障害12級の認定が賠償額を大きく左右します。しかし、医師が作成する診断書の記載が不明瞭だと、認定を逃すケースが多々あります。本事例は、弁護士が診断書の「不明な点」を見逃さず、被害者請求という方法で申請を主導。狙い通りの12級認定と1,150万円の賠償を勝ち取った、足の重傷事案の模範的な解決です。

概要

 【依頼者】 男性(50代) / 職業 会社員
 【傷病名】 右足関節外果骨折、右足関節果部骨折
 【受任時期】 治療終了・症状固定後
 【後遺障害等級】 12級 
 【活動のポイント】 後遺障害診断書の補充説明を得た上での後遺障害申請
 【サポート結果】 後遺障害12級認定を得ての請求額ほぼ満額での解決

依頼の経緯:可動域制限と診断書への不安

ご依頼者様(50代男性・会社員)は、自動二輪車で直進中に、路外右折をしてきた車両と衝突し、右足関節の外果骨折、果部骨折の重傷を負われました。治療を終えた時点でも足首の可動域に制限が残り、後遺障害の申請を検討されていました。しかし、治療を終えた医師に書いてもらった後遺障害診断書を弁護士が拝見したところ、可動域制限の記載に曖昧で不明確な点があり、このままでは狙い通りの12級認定が危ぶまれる状況でした。

アリオン法律事務所の戦略:申請前の「診断書精査」

私たちは、申請前に等級認定に必要な要件を満たすよう、以下の活動を行いました。

  1. 医師への「不明瞭な点」の確認と補充
    認定機関が疑義を持たないよう、弁護士が医師に対し、診断書に記載された可動域測定結果の根拠や、不足している症状の記述について丁寧に確認と補充を求めました。その結果、診断書をより明確で、等級認定に必要な要件を満たす記載にしていただきました。
  2. 被害者請求による主導権の確保
    診断書が確定した後、保険会社任せの「事前認定」を避け、被害者側が主導権を握る「被害者請求」により申請。すべての医療記録と弁護士の意見書を添付し、右足関節の12級認定を確実なものとしました。

交渉の結果:1,150万円の満額解決

狙い通り後遺障害12級の認定を得た結果、賠償金のベースが大幅に上昇。その後の交渉で、治療費や既払い金を除き、請求額のほぼ満額となる1,150万円を勝ち取り、早期に解決に至りました。

担当弁護士のコメント

足関節骨折のような重傷事案は、等級が12級になるか否かで賠償金が大きく変わります。しかし、等級認定は医師の診断書(書類)の精度にかかっています。本事例のように、弁護士が申請前に診断書を徹底的に精査し、必要に応じて医師に確認・補充を求めることで、認定の確実性を高めることができます。この事前のひと手間が、1,150万円という結果を生んだのです。

よくあるご質問:足の骨折・後遺障害について

Q1. 足首の可動域制限で後遺障害12級は、どのような場合に認定されますか?

  • A. 可動域が健側(怪我のない方)の3/4以下になった場合に認定されます。 足関節の場合、足の「背屈」「底屈」「内返し」「外返し」の4方向の動きの合計が、怪我をしていない側の3/4以下に制限された場合に、12級7号が認定される可能性が高いです。正確な測定と診断書の記載が必須です。

Q2. 「被害者請求」と「事前認定」はどちらが有利ですか?

  • A. 12級以上の等級を目指すなら、被害者請求が有利です。 被害者請求は、被害者側が等級認定に必要なすべての資料を揃えて提出するため、本事例のように診断書の不明点を事前に修正・補充するなど、申請内容をコントロールできる点で圧倒的に有利です。

Q3. 治療中から弁護士に依頼するメリットはありますか?

  • A. はい、最大のメリットは「診断書の準備」です。 症状固定の時期や、その後の後遺障害診断書の記載内容について、治療中から弁護士が医師と連携・検討することで、本事例のように認定を確実にするための最善の準備ができます。