手首や腕の骨折(橈骨遠位端骨折など)は、治癒後も可動域制限が残りやすく、その立証方法が賠償額を大きく左右します。保険会社任せでは等級認定を逃しがちですが、本事例は、70代女性の右手の骨折に対し、弁護士が「被害者請求」を戦略的に活用。後遺障害診断書の作成時から可動域検査の実施を確実に指示することで、後遺障害12級6号の認定を獲得。交渉のみで1,440万円という高額賠償を勝ち取り、早期解決を達成した事例です。

交通事故概要

【相談者】 女性(70代) / 熊本県在住 / 職業:無職
【受任時期】 事故直後(治療中)
【傷病名】 右橈骨遠位端骨折、頭部外傷
【後遺障害等級】 12級6号
【活動のポイント】 後遺障害の被害者請求による12級の認定獲得
【サポート結果】 後遺障害12級6号の認定を受けた上で、交渉にて解決。
主な損害項目事前提示額解決額増加額
賠償額(既払除く)-提示前-1440万円1440万円

相談・依頼のきっかけ

Aさん(70代女性)は横断歩道歩行中に自動車と接触・転倒し、右腕の橈骨(とうこつ)遠位端を骨折する重傷を負い、通院されていました。事故から3ヶ月が経過し、症状固定が見えてきた頃、後遺障害が残ることを確信しつつも、等級認定の専門的な手続きや立証に不安を感じ、当事務所にご相談されました。

アリオン法律事務所の戦略:後遺障害診断書作成の徹底管理

右手の骨折による機能障害は12級6号(関節の可動域が健側の2分の1以下に制限)に該当する可能性が高いと判断。認定を確実にするため、当事務所は以下の「被害者請求」戦略を症状固定前から実行しました。

  1. 診断書作成時の「可動域検査」の確実な実施 手首や肘の機能障害は、医師が正確に可動域を測定しなければ等級認定されません。私たちは、後遺障害診断書の作成にあたり、可動域の測定が後遺障害認定の基準に沿って行われているかを確認し、医師に必要な検査事項を明確に依頼しました。
  2. 被害者請求による等級認定の確実化 可動域制限が残存していることを示す診断書が完成した後、すべての医療記録を精査・添付し、被害者請求を実施。その結果、当初の想定通り12級6号の認定を確実に得ることができました。

交渉の結果

後遺障害等級12級6号という確実な等級を前提に、賠償交渉を開始。Aさんの早期解決の希望も踏まえ、訴訟リスクを避ける形で、1,440万円という裁判基準に近い高額賠償での和解が成立しました。最終的に、後遺障害等級認定も受けることができ、訴訟上の解決と同様の解決をすることができました。

解決のポイント

この事例のポイントは、後遺障害診断書が「等級認定のための唯一の武器」であることを理解し、その作成前に弁護士が介入した点です。特に橈骨遠位端骨折のような可動域制限が争点となる事案では、正確な可動域測定がなければ12級は取れません。治療中から弁護士が専門的知見を提供したことが、1,440万円という結果につながりました。

ご依頼者さまからのアンケート

個人・女性・70才
【事案内容】交通事故

  1. 当事務所の弁護士・スタッフの対応はいかがでしたか。
    大変満足(4.大変満足 3.満足 2.普通 1.不満)
  2. 数ある法律事務所の中から、当事務所を選んでいただいた理由をお聞かせください。
    紹介です。
  3. 最後に、当事務所をご利用いただいてのご感想をお聞かせください。
    ご丁寧なご説明と順分に対応して頂き、心より感謝致しております。有難うございました。

よくあるご質問:手の骨折・後遺障害

Q1. 手首の骨折で「12級」が認定されるのは、どのような場合ですか?

  • A. 手指の機能に障害がない場合、「手関節の可動域が健側(怪我をしていない側)の2分の1以下に制限された場合」に12級6号が認定されます。 この可動域の測定は非常にシビアで、医師に正確な検査を依頼しなければ、等級認定を逃す可能性が高くなります。弁護士による適切な診断書作成サポートが必須です。

Q2. 70代で無職でも、逸失利益は認められますか?

  • A. はい、認められる場合があります。 無職であっても、家事従事者としての労働能力、または潜在的な稼働能力を立証することで逸失利益が認められます。高齢者だからと諦めず、その可能性を弁護士が検討します。

Q3. 被害者請求と事前認定では、どちらが12級の認定に有利ですか?

  • A. 12級以上の等級を狙うなら、被害者請求が圧倒的に有利です。 事前認定では保険会社が用意する書類に不備があることが多く、本事例のように「医師への検査依頼」「有利な資料の添付」ができないため、等級認定を逃しやすい傾向があります。