交通事故の治療中、保険会社から最も聞きたくない言葉。それが「治療費の打ち切り」です。
「もう治ったはずだ(症状固定)」 「これ以上払えない」
一方的にそう言われて、痛みを我慢して通院を辞めてしまう方が後を絶ちません。 しかし、断言します。保険会社の「打ち切り」は、医学的な「治療終了」ではありません。
本事例は、打ち切り後も諦めずに通院を継続し、その「実績」を武器に後遺障害14級を勝ち取り、正当な賠償金を獲得した「粘り勝ち」の記録です。
概要
【相談者】女性(30代)/主婦
1.ご相談時の状況
「まだ痛むのに、治療費を止めると言われた」
ご依頼者様(30代女性・主婦)は、赤信号停車中に追突事故に遭い、首(頸椎)や腰(腰椎)に強い痛みを抱えていました。
事故から数ヶ月が経過した頃、相手方保険会社から「そろそろ治療費を打ち切ります」との連絡が入りました。 まだ症状は強く残っていましたが、経済的な負担を考えると「言われた通りにするしかないのか」と、半ば諦めかけた状態で当事務所へご相談に来られました。
2.アリオン法律事務所の「継続」戦略
私たちは、保険会社の言いなりにならず、「治療を続ける」という選択肢を提案しました。
- 戦略①:打ち切り後の「自費通院(健康保険)」 保険会社が払わなくても、治療は続けられます。 健康保険を使えば3割負担で済みますし、「痛みが続いていた事実(通院実績)」を残すことが、後の後遺障害認定において決定的な証拠になるからです。 Aさんには「この通院は、未来の等級認定への投資です」と説明し、治療を継続していただきました。
- 戦略②:主婦の休業損害の主張 Aさんは主婦であり、怪我によって家事に支障が出ていました。治療期間を延ばすことは、同時に「主婦としての休業損害」の対象期間を延ばすことにも繋がります。 粘り強い通院は、身体の回復だけでなく、経済的な補償を最大化するためにも必要なことでした。
3.解決結果(The Return:投資の回収)
治療を継続し、その実績を元に「被害者請求」を行った結果、努力は報われました。
- 認定結果: 後遺障害等級 14級9号(頸椎・腰椎の神経症状)に認定。
- 経済的成果: 後遺障害分だけで 191万円 が認められ、最終的な解決額は 425万円(治療費別)に到達。
もし打ち切りの時点で辞めていたら、後遺障害は「非該当」とされ、賠償額も半分以下になっていたでしょう。 「諦めなくてよかった」。Aさんのその言葉が、正解を物語っています。
4.担当弁護士のコメント
「打ち切り=終わり」ではありません。 痛みが残っているなら、それはまだ「終わっていない」証拠です。
お金の心配はあるかもしれませんが、後で回収する方法は私たちが考えます。 あなたは、ご自身の身体を治すことだけを考えてください。私たちが全力でサポートします。
よくあるご質問:打ち切りにお悩みの方へ
Q1. 打ち切られた後、自費で通院して本当にお金が戻ってきますか?
A. 後遺障害が認定されれば、回収できる可能性が高いです。 14級が認定されれば、自賠責から75万円が支払われるほか、任意保険会社からの慰謝料も増額されます。一時的な自己負担は発生しますが、最終的にはプラスになるケースがほとんどです。
Q2. 首だけでなく「背中(胸椎)」も痛いのですが、認定されますか?
A. はい、背中の痛みも後遺障害の対象になります。 むちうちでは、首(頸椎)だけでなく、背中(胸椎)や腰(腰椎)に痛みが広がることがよくあります。診断書に正しく記載されていれば、これらの部位も合わせて評価されます。「背中も痛い」と医師にしっかり伝えましょう。
Q3. 専業主婦ですが、通院を続けるメリットはありますか?
A. あります。「主婦休損」が増える可能性があります。 主婦の休業損害は、基本的に「治療期間(通院期間)」をベースに計算されます。無理をして早期に治療を辞めてしまうと、本来もらえるはずだった休業損害までもらい損ねることになります。



