多発外傷にて肋骨骨折などの傷害を負った被害者が、症状固定後に相談。持参された後遺障害診断書 に記載されている測定結果の不自然な点を指摘し、病院に測定ミス・記載ミスの訂正をしてもらい、後遺障害等級12級の認定を得て、交渉解決した事例です。

病院に弁護士も同行して後遺障害診断書の訂正をして頂きましたが、訂正がないままでは後遺障害等級認定を得られなかった可能性もある事案でした。

交通事故概要

【相談者】 女性(40代) / 熊本県在住 / 職業:会社員
【傷病名】 多発外傷、肋骨骨折、左母趾骨折等
【受任時期】 治療終了・症状固定後
【後遺障害等級】 12級
【活動のポイント】 後遺障害の等級認定申請のサポート
【サポート結果】 12級を獲得の上で示談解決
主な損害項目サポート前サポート後増加額
合計額1100万円

ご相談時の状況:診断書の「異常値」

ご依頼者様(40代女性・会社員)は、交差点での衝突により肋骨骨折、左母趾骨折を含む多発外傷を負われました。症状固定後、ご自身で作成してもらった後遺障害診断書を持参されましたが、その内容を精査したところ、左母趾の可動域測定結果が、健側(怪我のない方)の数値と比べても不自然な「異常値」を示していました。このまま提出すれば、正しい等級認定を得られないか、非該当になる可能性がありました。ご依頼者様は大変控えめな方で、病院に訂正を求めることは怖くてできないと不安を訴えられました。

アリオン法律事務所の戦略:現場介入と訂正の要請

この事案は、交渉に入る前に「診断書の正確性」を確保することが最優先でした。

  1. 弁護士同行による記載ミスの訂正
    ご依頼者様一人の力では難しかったため、弁護士が直接、ご依頼者様と一緒に通院先の医師のもとへ訪問しました。医師に対し、測定結果の論理的な矛盾点を指摘し、正しい測定結果を改めて記入していただくよう依頼。その結果、記載に誤りがあったことが認められ、正しい測定結果が記入された診断書を入手できました。
  2. 12級認定後の粘り強い交渉
    訂正後の診断書をもとに申請した結果、狙い通り左母趾の可動域制限による後遺障害12級の認定を獲得しました。相手方保険会社が提示した賠償額(660万円程度)は、私たちの算定額と大きな隔たりがありましたが、訴訟リスクと裁判基準を盾に、賞与減額分や慰謝料など、主な損害費目について粘り強く交渉を重ねました。

解決結果:訴訟リスク回避と1,100万円の獲得

後遺障害診断書の訂正という地道な作業が、等級認定の明暗を分けました。最終的に、訴訟には至らず、当方の主張に沿った金額となる1,100万円で示談解決となりました。これは、ご依頼者様が「訴訟は避けたい」というリスク回避の判断を尊重しつつ最大限の成果を追求した結果です。

担当弁護士のコメント

後遺障害の審査では、医師が書いた診断書の内容が絶対です。しかし、医師も人間であり、測定や記載ミスは起こります。特に多発外傷では、一つの怪我の陰に別の深刻な症状が隠されやすい。弁護士は、単に法律を知っているだけでなく、等級認定のルールを知り、診断書の異常を指摘できる専門家です。診断書を受け取ったら、必ず提出前に弁護士にご相談ください。

ご依頼者からのアンケート

よくあるご質問:重傷・複雑な怪我でお悩みの方へ

Q1. 後遺障害診断書は、一度提出すると訂正できませんか?

  • A. 訂正可能です。 訂正には医師の協力が必要ですが、本事例のように明らかな測定ミスや記載漏れがある場合は、弁護士が医師に相談し、訂正や追記を依頼することで対応可能です。提出前に弁護士にチェックを依頼することが最大の防御です。

Q2. 肋骨骨折や母趾骨折など、複数の箇所を負傷した場合は等級はどうなりますか?

  • A. 併合(合わせる)されて評価されます。 複数の部位に後遺症が残った場合、最も重い等級をベースに、等級が繰り上げられる「併合」という手続きが取られます。複雑な分、診断書の見落としがないよう、専門的なチェックが不可欠です。

Q3. 提示額と希望額に大きな差(例:660万 vs 1100万)がある場合、どうすべきですか?

  • A. 訴訟リスクを回避する「交渉解決」を目指すべきです。 本事例のように、裁判を起こさなくても、論理的に立証資料を提示し、保険会社に「裁判で負けるリスク」を認識させれば、大幅な増額に応じさせることが可能です。ご依頼者様の意向を尊重し、訴訟に至らず解決を図ります。