事故で頸椎捻挫・腰椎捻挫の傷害を負った学生が、事故以前は掛け持ちのアルバイトをしていたところ、相手方保険会社において、片方のアルバイト分の休業損害しか認めない賠償提案がされた状態で相談・受任しました。受任後、勤務表などを勤務先に出してもらうなど勤務実態を精緻に説明した結果、掛け持ち分の休業損害を含め、休業損害・慰謝料ともに請求額満額で解決した事例です。

交通事故概要

【相談者】 男性(20代) / 熊本県在住 / 職業:学生
【傷病名】 頚椎捻挫、腰椎捻挫等
【後遺障害等級】 申請せず
【受任時期】治療終了・症状固定後
【活動のポイント】 休業損害の主張・立証
【サポート結果】 休業損害の全額認定
主な損害項目サポート前サポート後増加額
損害額103万円165万円52万円

ご相談時の状況:掛け持ちが「弱点」に

ご依頼者様(20代男性・学生)は、自家用車を運転中に追突され、頚椎捻挫・腰椎捻挫を負いました。治療を終え、相手方保険会社からの賠償案を見ると、掛け持ちしていたアルバイトのうち、一方の休業損害しか認定されていませんでした。保険会社は、提出された休業損害証明書の「所定勤務時間」だけを見て、シフトが重複していると決めつけていたのです。ご依頼者様は、実際はシフト通りに働いていたため、その不当な提示に納得できませんでした。

アリオン法律事務所の戦略:実態を証明する証拠主義

形式的な「所定勤務時間」の記載だけで支払いを拒む保険会社の方針変更を迫るため、私たちは以下の立証活動を行いました。

  1. 事故前の「シフト表」を決定的な証拠に
    アルバイト先に協力をお願いし、事故以前の具体的な「シフト表」を取り寄せました。これにより、保険会社が主張する「所定勤務時間」ではなく、「実際の勤務実態」がどうであったかを精緻に証明し、勤務時間が重複していなかったことを示しました。
  2. 休業損害・慰謝料の満額請求
    勤務実態の証拠が揃ったことで、保険会社は休業損害の全額を否定することができなくなりました。私たちはこれを交渉の強力な武器とし、休業損害・慰謝料ともに請求額の満額(裁判基準)を認めるよう要求しました。

解決結果:休業損害の全額認定と165万円の獲得

粘り強い交渉の結果、否定されていた掛け持ち分の休業損害が全額認定され、示談が成立しました。

休業損害: 否定されていた部分を含め全額認定。

最終的な増額: 当初提示 103万円 → 解決額 165万円(52万円の増額)。

担当弁護士のコメント

休業損害の計算は、パートやアルバイト、シフト制など、非正規雇用の場合は特に複雑で、保険会社は常に支払い渋りの機会を伺っています。この事例は、「口頭ではなく、具体的な資料(シフト表など)で実態を証明すれば、保険会社は退かざるを得ない」という原則を示しています。あなたの労働の価値を正当に守るために、ぜひ私たちにご相談ください。

よくあるご質問:アルバイト・パートの休業損害について

Q1. 掛け持ちしている場合、休業損害は両方の仕事分がもらえますか?

  • A. はい、原則として両方の仕事分がもらえます。 ただし、本事例のように、シフトの重複などを理由に保険会社が一部の支払いを拒否してくることがあります。その場合は、事故前の給与明細やシフト表を証拠として用意する必要があります。

Q2. 休業損害証明書の「所定勤務時間」が実態と合っていません。どうすれば良いですか?

  • A. 弁護士を通じて、勤務先に「シフト表」などの実態がわかる資料の提供を依頼してください。 証明書に記載される所定時間ではなく、 「事故がなければ働いていたはずの時間」 が重要です。弁護士が勤務先に事情を説明し、正確な勤務実態を示す資料を揃えるサポートを行います。

Q3. 後遺障害がないむちうち(頚椎捻挫)でも、休業損害で増額できますか?

  • A. はい、可能です。 後遺障害の認定がなくても、休業損害(特にパート・アルバイト)と傷害慰謝料を裁判基準で計算し直すことで、本事例のように50万円以上の増額が実現するケースは多くあります。

解決事例